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いわての技特集ー伝統工芸品

岩手の伝統工芸、手仕事を紹介

INDEX

  1. 南部鉄器(盛岡市・奥州市)
  2. 奥州市伝統産業会館 南部鉄器館
  3. 岩谷堂箪笥(盛岡市・奥州市)
  4. 秀衡塗(一関市・平泉町、他)
  5. 浄法寺塗(二戸市・八幡平市、他)

南部鉄器(盛岡市・奥州市)

 

南部鉄器の歴史は、奥州市水沢が950年前と古く、藤原清衡が鋳物師を招いたことから伝わったと言われ、一方盛岡の南部鉄器は400年程前、盛岡藩主南部利直が京都から釜師を招き、茶の湯釜を作らせたのが始まりといわれています。
岩手は、材料となる砂鉄や鉄鉱石、漆が豊富であることから、鉄器の技術・技法は途絶えることなく今に受け継がれてきました。その伝統の技術を認められ昭和50年に[伝統的工芸品]に指定されています。

盛岡市内にある伝統工芸品「南部鉄器」製造販売の株式会社岩鋳(いわちゅう)は、創業明治35年(1902年)。110年あまりの歴史のなかで鉄器作りの伝統と技術を受け継ぎ、守り続けています。
年間、100万点にものぼる製品を世に送り出しているとのことで、伝統的な品はもちろん、IH対応製品やカラフルな色やモダンなデザインのものなどその時代の生活スタイルに合わせた製品も作られています。ヨーロッパ、アメリカ、アジア方面にも輸出され、IWACHUブランドとして人気を博しています。

①岩鋳鐵器館は伝統の意匠南部鉄器展示ギャラリーのほか鉄瓶製作の作業工程を見学できる工場です。 ②岩手の伝統工芸品「南部鉄器」を販売している「株式会社岩鋳」の赤平憲生さん。

③ホールには世界一の大きさという大鉄瓶。高さ1.5m、重さ350kg!

④こちらは、オリジナルの特大鉄琴。実際に音を奏でることができます♪自由に打っていいそうですよ。

また、「鉄器館」は、鉄瓶の製造工程を見学することができ、国内外の観光に訪れる方に人気のテーマパーク型の工場になっています。岩鋳には現在2名の伝統工芸士を含めた6名の職人さんがおり、工場内ではその技を見学することができるのです。

⑤⑥ホールから次の扉を開けるとそこは鉄器製造の工場でした。実際に職人さんたちの仕事を見学することができます。ひとつの鉄瓶を作るのに64から68の工程があるのだそうです。そのほとんどを手作業で行います。

⑦こちらは、伝統工芸士・八重樫亮さん。八重樫さんは三代目「清茂」を名乗っています。

⑧この作業は、北上川の川砂と粘土で鉄瓶の底の型を作っているところ。鉄瓶の底は平坦ではなくざらっとした小さな凹凸がありますがそのざらつきの加減も職人によって違うのだそうです。機会があったら見比べてみてください。

⑨溶解炉で溶かした鉄を湯汲み(ゆぐみ)と呼ばれる柄杓で受けているところ。鉄の温度は1400~1500度!
⑩鋳型に流し込みます。このひとつの鋳型から作れるのはわずか5~6個。傷などができてしまうため使えなくなるのだそうです。

⑪⑫鋳込んだ鉄が固まり、鋳型から引き出すところ。

⑬⑭熱く危険が伴う作業は、先人から受け継いだ技術を身につけている職人さんだからこそ出来る仕事なのです。

⑮鋳型から取り外された鉄器。
⑯漆を焼き付け、おはぐろ又は茶汁を刷きつけたあと丁寧に布で拭き上げます。

館内のショップでは、鉄瓶や急須、キッチンウェアなど購入することができます。使い方や手入れの仕方など聞くこともでき、実際に手に取ってみるのもおすすめです。たくさんのラインナップがありますので見学の後に訪れてみてはいかがでしょうか。また、商品はオンラインショップからの購入もできます。

⑰少し緊張の工場見学でしたが、販売コーナーではカラフルな鉄瓶にそばっちも大喜び!

⑱モダンなデザインときれいな色の鉄瓶は、欧米の方に特に人気だそうです。
⑲岩鋳製南部鉄器急須 KEN OKUYAMAデザインの「オリガミ」。JR東日本の豪華寝台列車「トランスイート四季島(しきしま)」で使用されています。岩鋳の店頭や盛岡駅のお土産店等で購入することができます。

 

岩鋳鉄器館

奥州市伝統産業会館 南部鉄器館

奥州水沢の「南部鉄器」に関する資料展示のほか明治初期の鋳物作りの様子を再現したコーナーや、今では貴重な江戸時代、明治時代から近年まで製造された鉄器の展示もあり、鋳物について詳しく知ることができる施設です。ホールにはシンボルともいえる、大鉄瓶やキューポラを再現したものがあり、訪れる人々を楽しませてくれます。
また、南部鉄器の技術を用いて作られた奥州市出身大谷翔平プロ野球選手の握手像が設置されていますのでぜひ握手してみてください。

①中央のオブジェは、キューポラ(大正初期頃まで使用されていたたら式コシキ(足踏式ふいご))を再現したもの。
②隣りには大鉄瓶が展示されています。

③館内では鉄器作りの各工程の様子を見ることができます。

④そばっちも興味津々。

時代ものの鉄器の展示もあります。

⑥そばっちも大谷翔平選手の握手像と握手しました!

⑦売店が併設されており購入することができます。

岩谷堂箪笥(盛岡市・奥州市)

岩手を代表する伝統工芸品「岩谷堂箪笥」。今回は、株式会社岩谷堂タンス製作所の13代目、三品(みしな)綾一郎さんにお話を伺いました。
岩谷堂タンス製作所の始まりは江戸時代中期1783年頃と言われています。時代に合わせ、デザインやサイズを工夫したものもありますが、技術は変わることなく脈々と受け継がれてきました。

①②こちらにたくさん立てかけてある薄くて細長い板は全て箪笥の図面だそうです。1枚の板の裏表に記載されている寸法通りに木取りと呼ばれる箪笥枠や引き出し用などの材料から作業を進めるそうです。

③広い工房内ではそれぞれの作業をする部屋が分かれており全ての工程が一貫した手づくりの作業です。

④伝統工芸士の資格を持つ職人さんはじめ、ほとんどの方が経験年数10年以上だそうですが、3年前に入社したという若い職人さんもいらっしゃいます。

⑤⑥こうして1783年頃、岩谷堂箪笥製作が始まって以来、そしてこれからも脈々と技術が受け継がれているのです。

⑦工房の前には材料となる木材。何年もかけて乾燥させます。

材料となる木材は、欅、桐、栓、朴、杉などです。ほとんどが岩手県産木材を使用しており、何年もかけて乾燥し、家具に仕上げていくのです。また、岩谷堂箪笥の大きな特徴である装飾金具も南部鉄器金具が使われます。装飾金具は他に鉄板や銅板などを打ち出す手打金具という技法もあります。金具の柄は、使う人の繁栄を願い、龍や獅子の目出たいものや家紋などがデザインされています。
ショールームにある家具の他、用途や置き場所に合わせ、オーダーする方も多いそうです。

⑧続いてショールームへおじゃましました。

⑨木目の美しさ、漆の持つ風合いと光沢、金具の重厚さが岩谷堂箪笥の魅力。

⑩人気が高いというカラクリ箪笥。こんなところに物入れが!

⑪カラクリ箪笥は、代々引き継がれるものと職人さんのアイデアで新しく作られることもあるとか。

また、岩谷堂箪笥を身近に使っていただけるよう時計や鍋敷きなどインテリア雑貨も作られています。三品さんは伝統を守りつつも若い方にも岩谷堂箪笥の魅力を知っていただきたいと、オリジナル小物を作るなど新しいことも始めています。

⑫鍋敷きやペーパーウェイトなど岩谷堂箪笥の技術を活かした暮らしの道具も作られています。インテリアのアクセントにもなります。

⑬こちらは、岩谷堂タンス製作所オリジナルの端材を利用したブローチなどの小物。軽くて使いやすく、ユニークなデザインも人気を呼んでいます。

 

株式会社岩谷堂タンス製作所

住所
奥州市江刺区愛宕字海老島63-1 / 奥州市江刺区愛宕字梁川204-1(I.T.S:ショールーム)
お問い合わせ
0197-35-6016 / 0197-35-7357(I.T.S:ショールーム)
アクセス
水沢ICから車で約10分

秀衡塗(一関市・平泉町、他)

秀衡塗の呼称は平泉地方に古くから伝わる秀衡椀からとったもので、源氏雲と呼ばれる雲の形と菱形の金箔を使い漆絵による草花柄を配した華麗な秀衡文様が特徴です。平安時代末期、当時栄華を極めていた藤原秀衡が金色堂造営の折、京から招いた職人につくらせたことからと言われています。当時の平泉地方には材料となる漆と金がふんだんにあったことも発展した理由のひとつです。その技術が今に造り継がれ、椀の他、その手法を活かした様々な製品がつくられています。

秀衡塗の伝統模様である有職菱文(ひし形)と源氏雲が描かれた汁椀。

浄法寺塗(二戸市・八幡平市、他)

728年(奈良時代)、浄法寺町に天台寺が建立された際、派遣されてきた僧侶が自家用の器を作ったことから、漆器作りの技術が伝わったと言われています。僧侶が作った「御山御器(おやまごき)」と呼ばれるその器は飯椀、汁碗、皿の三つの椀で一組、重ねてしまえるよう入れ子になっているものです。その器が、天台寺境内や参道で売られたことから周辺の住民にも広まり暮らしに根付いてきました。浄法寺塗は丈夫で色も美しく、はじめはややおさえ気味な艶ですが、使い込むうちに味わい深い艶が出て来るのだとか。加飾があまりないのが特徴で、色も黒と朱が主流、ふっくらとして手にしっとり馴染み日常使いの器としてぴったりの漆器です。

浄法寺塗を展示販売している「滴生舎」では、浄法寺塗に絵付けを体験することができます。完成品は後日送ってもらますので、旅の思い出にいかがでしょうか。

①教えてもらいながら絵付け体験ができます。

②コースターの出来上がり。個性もいろいろ!

③御飯もの、汁もの、用途を選ばず使える浄漆椀。
④ショップには美しい漆器がズラリ!

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